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横浜地方裁判所 昭和59年(ワ)610号 判決

原告

星野教一

被告

久野昭治

右訴訟代理人

大内英男

主文

本件訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

本件訴状に記載された原告の請求の趣旨及び原因は別紙記載のとおりである。

ところで、右のとおり本件訴えは配当異議の訴えであるところ、原告は昭和五九年五月一四日の最初の口頭弁論期日に出頭しないから、民事執行法九〇条三項により本件訴えは却下すべきものである(なお、右期日には、原告のみならず、被告も出頭しないが、配当異議訴訟の遅延により配当手続の迅速な終了が阻害されることを防止しようとする同条同項制定の趣旨に照らし、当事者双方不出頭の場合にもそれが適用になるものと解すべきである)。

よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用し主文のとおり判決する。

(澁川滿)

請求の趣旨

横浜地方裁判所昭和五九年(リ)第一五号配当事件について、同裁判所の作成した配当表のうち、債権者・被告に対する配当金のうち、金二〇五万八九六一円を取消し、これを原告の債権額につき配当することに変更する。訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求める。

請求の原因

一 原告は、訴外債務者武智鉄二に対し、金二一二万円の約束手形金債権を有するところ、訴外同人が、右約束手形の不渡処分を免れるため、支払場所株式会社三菱銀行(麹町支店扱)の加盟する東京銀行協会に預託した。金二一二万円の返還請求債権を、東京地方裁判所昭和五八年(ヨ)第六三二四号債権仮差押事件の決定により仮差押えた。

二 被告は、訴外武智鉄二を債務者とする、東京法務局所属公証人太田武之作成、昭和五八年第八七二号の執行力ある公正証書正本により訴外同人の前項の金二一二万円の返還請求債権に対し、横浜地方裁判所昭和五八年(ル)第一三六三号事件の債権差押命令により、これを差押えた。

三 訴外株式会社三菱銀行は、差押え競合により、金二一二万円を供託し、これが事情届を、横浜地方裁判所になし、目下同裁判所において、昭和五九年(リ)第一五号配当事件として係属中である。

四 しかるに、同事件について、債権者である被告は、前述の公正証書に基づき、債権元本金六〇〇〇万円、およびこれに対する利息・損害金を有すると主張して、配当申立てをなし、同裁判所は、これを認めて、被告に配当すべき配当表を作成した。

五 しかし、原告が、右公正証書について、訴外債務者同人に聞いたところによると、被告に対する債務は存在せず、同証書は、虚偽による無効のものであると主張する。

六 よつて、被告は、同証書に基づいて配当をうける権利を全く有しないので、被告に配当すべき金員のうち、金二〇五万八九六一円については、原告の債権額について、配当をうけるべきものであるから、配当期日において、該配当表に対し、異議の申立てをしたか、被告は異議を正当であるとしないので、本訴に及んだ次第である。

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